140字じゃまとめられなかったので…トルヒーヨのハルディンホテルと精神異常者たちへ…

平沢進のソロとしての1stアルバム『時空の水』の一曲目として収録されている『ハルディンホテル』と、キングクリムゾンの1stアルバム『キングクリムゾンの宮殿』の一曲目として収録されている『21 century schizoid man』には(些細な)共通点がある。
・ハルディンホテルとはペルーに存在した建物で、精神異常者(スキッツォイドマン)を対象とした呪術医療が行われていたらしい。クリムゾンの方は今でこそ多方面への配慮から「スキッツォイドマン」と訳されているが当初は「精神異常者」と訳されていた
・クリムゾンはイギリスのグループなので歌詞は英語だ。私には正直彼らが「精神異常者」というワードで何を歌っているのかは解らない(直訳出来ても、その深層で何を歌っているのかは英語スキル的に分からないということ。読めるけど訳解らない歌詞を聴かせられるヒラサワリスナーなら分かるはず)そこが、この論の少し弱いところではある。

・私個人は『ハルディンホテル』の中で歌われる「精神異常者」をイコール「生まれてくるのが早すぎた人々」として解釈している。平沢進とはある意味で「生まれてくるのが早すぎた音楽家」である。MP3への先見性云々も含めて、ヒラサワの立ち位置というのはだいたい時代の先を行っている。そして時代の先を行っているが故に既存のシステムとはうまく折り合いがつかない。
・そう考えると『ハルディンホテル』の「トルヒーヨのハルディンまで一緒に行きませんか?」という歌詞は「私たち(平沢とリスナー)はちょっと生まれてくるのが早かったし、時代にも上手く併合出来ないけど、そのことをすべて受け入れてともに歩んでいこうぜ」という意味に聞こえるから不思議だ
・文化の多様化と複雑化が叫ばれる21世紀だが、まだインターネットの無かった20年前に「メインストリームとは別の、ちっちゃいけど濃密なコミュニティーで音楽をやろう」という意思をファーストアルバムの一曲目で示すあたり平沢は偉い。(ええ、ここで書かれていることは私の脳内妄想です)

・平沢が自らを「精神異常者」的に見ているというのは、ソロ二作目『サイエンスの幽霊』のテーマが「マッドサイエンティスト」であるというところからも一目瞭然である。
ツイッター上で「ハルディンはサイエンスの幽霊のマッドサインティストを見送るような歌」というツイートをいただいた。これは興味深い
・よくよく考えるとあの「オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ナース」も「精神病院としてのハルディンホテル」に引っ掛けていたようにも思える。
・ファンクラブ会員専用の掲示板の名前は『ナースカフェ』だ!ある意味では「君たちは早すぎた人々だ」とグリーンナーブから直々に言われている気がする。