10代の為のムーンライダーズ・ブーム
期末テストが終わった。さて、テスト期間に果たして何を聴いていたんだろうかと振り返ると、振り返る必要も無いくらいにムーンライダーズばかり聴いていた。(http://bit.ly/eXF4xeを見れば一目瞭然ですね・・・)
- アーティスト: ムーンライダーズ,鈴木博文,鈴木慶一,佐伯健三,白井良明,橿淵哲郎
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でも実は最近まで、僕はムーンライダーズについて全然良いイメージを持っていなかった…そう、むしろ嫌いだったのである。
僕が最初にムーンライダーズを見たのはこの動画だった。
当時P-MODELやPLASTICSのようにシャープな格好をしたニューウェーブにハマっていた僕は、まず鈴木慶一のモジャモジャ頭で彼らにNOを突きつけた。曰く「ダサッ!」
確かに今聴くと演奏めちゃくちゃ上手いしカッコいいんだけど、当時(高2ぐらい)は何がいいのかサッパリ分からなかった。このままムーンライダーズは僕の記憶の彼方に消えていく…筈だった。
ただその後「レコ大受賞かー」とか思いながら聴いた曽我部恵一プロデュースの鈴木慶一ソロ『ヘイト船長とラブ航海士』にドハマリ。
ヘイト船長とラヴ航海士~鈴木慶一 Produced by 曽我部恵一~
- アーティスト: 鈴木慶一
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そうするとどうしたって彼の所属している「ムーンライダーズ」というグループにも興味が出てくる。きっと動画だけを見てダサいとか思ってたのはアルバム単位で聴けば吹っ飛ぶんだろうな!
そう思いながらレコ屋に行き、所謂ニューウェーブ・テクノポップのガイド本で大きく取り上げられていた『マニア・マニエラ』へ手を出した。
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しかし…これもよく分からなかった。。。ボーカルは聴こえづらいし音は気持よくないしで燦々だった。「嘘だろ?きっと悪いクジを引いてしまったに違いない!」そう思って次に聴いたのが上掲の『青空百景』。『マニエラ』よりは良いと思えたが、それでも「これが名盤か?」と疑問を拭えなかった。
確かに部分的にイイトコはあるんだけど…評論家筋は、ムーンライダーズのなんとも言えない中途半端さに倒錯した趣向を見いだしているのでないかとさえ思ったほどだ。
何で?はちみつぱいとか、鈴木慶一のさえ子夫人プロデュースとか、白井良明の小川美潮プロデュースとか凄く良いのに、どうして彼らは「ムーンライダーズ」として集まると途端にダメになってしまうんだろう…そう考えざるを得なかった。
その後カーネーションにハマった時に、僕はもうムーンライダーズを聴く必要はないと思った。
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なぜならば(あくまで僕の認識だけど)『天国と地獄』『EDO RIVER』期のカーネーションは「ムーンライダーズから良い所だけを抜き出して悪いところを捨てた」バンドだったからだ。先に挙げた『ヘイト船長』がある意味でカーネーション(直枝政広)っぽいのにも納得がいった。ムーンライダースの功績はカーネーションという素晴らしいバンドへ起爆剤を与えたことにある。そのはずだそのはずだ…
ところがどっこい、iPodのシャッフル機能というのは時々無意識のレベルでいい働きをすることがある。
『青空百景』に入っている「真夜中の玉子」がひとつのきっかけになった。なんかこの曲カッコイイ…もうムーンライダーズには手を出さないことにしていたけど、最後にもう一回ぐらい後悔してみるか…そう思って入手したのが運命を変える一枚『アマチュア・アカデミー』だった。
ドンピシャ。もう「ドンピシャ」としか言いようがないくらいにジャストな一枚だった。もちろん此処にいたるまでに僕のリスナーとしての聴き方や指向性の変化はあったと思うが、それにもまして「Y・B・J」「30」を始めとする名曲揃いにやられた。
そして不思議なことに、この作品に出会って以降それまで全然聴けなかった『青空百景』と『マニエラ』にもブームが飛び火したのだ!ああ、なんで今までこんなにいい作品にNOを突きつけていたのだろう…反省しっぱなしだった。
で、提言。やっぱり諸々のディスクガイドやレビューサイトでは『青空百景』『マニラ・マニエラ』を押す風潮があると思うんだけど、僕はそういう「これからムーンライダーズきいてみようかなー」という人にこそ『アマチュア・アカデミー』をお勧めしたい。
何故この作品だけ最初から良く聴こえたのかには諸説があるが、今作がムーンライダーズの歴史の中でも珍しい共同プロデュース作品であること(故に音が変態ながらもスッキリしている)、そして初めて彼らがコンピューターを本格導入したアルバムであることは必ず一理ある。
本作の後に出した『アニマル・インデックス』『Don't Trust Over Thirty』もコンピューターを効果的に使った作品で、特に『ドントラ』は『アマチュア・アカデミー』にも劣らない名盤だと思う。
あと『MODERN MUSIC』!これも随分前に入手するも「ビデオボーイ」だけ聴いてオサラバだったのが、最近聴き返していい曲多いアルバムだって気がついた。ニューウェーブなのは一曲目だけで、実は「ディスコボーイ」みたいな曲に真髄があるのだな。。。
ムーンライダーズは活動歴長い故にまだ持ってないアルバムたくさんあるので、テストも終わったことだし少しずつ揃えていこうと思います。
うーん、一度でいいからライブでムーンライダーズやってみたいなぁ。「僕はスーパーフライ」「真夜中の玉子」「Y・B・J」「30」「9月の海はクラゲの海」「マニアの受難」「Kのトランク」「花咲く乙女よ穴を掘れ」……