2010年に聴いて良かった音楽

年末に限ってこういうことがやりたくなるのですが、意味なんて無いのです。

冨田勲『月の光』

月の光

月の光

1974年、RCAレコードより「月の光」をリリース。同作が米ビルボード(クラシカル・チャート)で2位を獲得し、グラミー賞にもノミネートされる。続く「展覧会の絵」はビルボードで1位を獲得。それ以降もクラシックの曲を次々とシンセサイザー音楽化した。…wikipediaより

といった感じで巨匠中の巨匠である冨田勲だが、正直に言って僕の氏に対する第一印象はあまり良くなかった。その理由の一つが、僕が高校に入って最初にハマったYMOやらテクノポップ御三家(P-MODELPLASTICSヒカシュー)のシンセ使用法が讃えられる時に使われるテンプレにある。それは『それまでのシンセサイザーは効果音製作や、既存の楽器の代用として使用されていた。』『彼らはシンセサイザーや自動演奏でしか作れない音or曲を制作したからエラかった』といったものであり、僕はコレを「なるほどなー」とか思いながら鵜呑みにしていたのだ。「それまでのシンセサイザー」なんか一度も聴くこと無かったくせに。

ただ、そうは言ってもシンセを調べるたびに名前が出てくるので、ある日「一応…」と思って『月の光』を借りてみることにした。そしたら凄かった。「想像力のないやつはシンセサイザーを使うな!」と聴きながら言われているような気がした。そこで鳴っている音は「既存の楽器の代用」なんかじゃ全然なかった。全くの「シンセサイザーにしか出せない音」だった。

プログレクラスタ的には『展覧会の絵』(こちらも名編曲!)を押すべきなのかも知れないけれど、僕は冨田勲シンセ物の最高傑作はやっぱり『月の光』だと思う。オーケストラ曲である『展覧会の絵』をシンセに置き換えるのと、ピアノ曲である『月の光』収録原曲をシンセに置き換えるのとでは労力が全然違うからだ。後に聴いた純粋なピアノだけの『月の光』ももちろん素晴らしかったが、冨田版との比較はできない別ジャンルの音楽だと思った。
冨田勲シンセ物の素晴らしさはやはり「想像力」の一言に尽きる。自分のシンセサイザーに対する物の見方がこの盤を聴いて大きく広がったなーと思います。

新日本紀行冨田勲の音楽』

新日本紀行/冨田勲の音楽

新日本紀行/冨田勲の音楽

1960年代には作曲家としてNHK番組や手塚アニメに多くの楽曲を提供した。この時期までは美しいメロディとシンフォニックなサウンドが特徴だった。代表的なのは『新日本紀行』、『きょうの料理』、大河ドラマの音楽の作曲(最多の5作品を担当)、『ジャングル大帝』『リボンの騎士』等…wikipediaより

で、編曲家:冨田勲の顔を知ると、当然作曲家:冨田勲の顔が見たくなる(笑)。という訳で入手したのがこのアルバム。基本的にはシンフォニックなのだが、所々に入ってくるジャズのエッセンスがとても気持ち良い。聴いていて思わず「あーこれは戦後外国から輸入されたジャズに心打たれた日本人が作った曲だなー」等と知ったような口を叩いてしまう程(要するに作品から凄くスピリットを感じるわけです)。
上に挙げた代表曲はもちろんのこと「文五捕物絵図」「徳川家康」などの楽曲もよく出来ていて、僕はすっかり冨田ワールドにハマってしまいました。そもそも平沢進のファンでニューエイジ系に抵抗がなかったのも大きかったかも知れません。平沢も戸川純の『昭和享年』で「リボンの騎士」編曲してるしね。

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